シンガポールの就労ビザ(EP・Sパス)とは?申請条件・手続き・注意点を解説【2026年版】

シンガポールで働くには、目的と条件に合った就労ビザの取得が必要です。外国人が最もよく利用するのが「エンプロイメントパス(EP)」と「Sパス」の2種類で、それぞれ対象となる職種や収入要件が異なります。この記事では、2026年現在の最新情報をもとに、各ビザの概要・申請条件・手続きの流れ・注意点をわかりやすくまとめてご紹介します。

1. シンガポールの就労ビザの種類と概要

シンガポールで就労する外国人向けのビザは、主に以下の種類があります。

エンプロイメントパス(Employment Pass / EP) 専門職・マネージャー職・管理職などの高度人材を対象としたビザです。一定の月収要件と学歴・職歴要件を満たす必要があります。在住外国人の中で最も多く利用されているビザのひとつです。

Sパス(S Pass) 中間レベルのスキルを持つ外国人労働者向けのビザです。EPより要件が低い分、雇用主側にはクオータ(業種・企業規模ごとの採用上限)が設けられています。

EntrePass(アントレパス) 外国人起業家がシンガポールで新規ビジネスを立ち上げるためのビザです。投資家・スタートアップ創業者を対象としており、厳格な審査があります。

ワークパーミット(Work Permit) 建設・製造・サービス業などの労働集約型産業で働く外国人向けのビザです。日本人がこのビザを取得するケースは一般的ではありません。

2. エンプロイメントパス(EP)の条件と申請方法

2026年の主な要件

シンガポール政府は近年、EPの審査基準を継続的に引き上げています。2026年現在の主な要件は以下の通りです。

  • 月収要件:原則として月5,000シンガポールドル以上(金融業界はより高い基準が適用)。年齢が高いほど求められる月収は上がり、45歳以上では10,500 SGD以上が目安とされています
  • 学歴・職歴:大学の学位または相当の職業資格・経験があること
  • ポジション:管理職・専門職・技術職であること

また2023年より施行された「COMPASS(Complementarity Assessment Framework)」という審査制度のもと、申請者のスキル・資格・賃金水準・会社の外国人比率などを点数化して総合的に評価されます。

申請方法

EPはシンガポールの雇用主が労働省(Ministry of Manpower / MOM)のオンラインポータル経由で申請します。内定者が自分で申請するものではなく、採用する会社側が手続きを行います。審査には通常3〜8週間かかります。承認後、シンガポール入国後にカードの受け取り・指紋登録が必要です。

3. Sパスの条件と申請方法

2026年の主な要件

  • 月収要件:月3,150シンガポールドル以上(2025年以降の基準。金融業・その他業種で異なる場合あり)
  • 学歴・職歴:学位またはディプロマ(技術専門資格)を持ち、関連する職業経験があること
  • クオータ制限:雇用主が採用できるSパス保有者の人数は、会社の全従業員に占める割合(クオータ)によって制限されます

Sパスの申請も雇用主がMOMポータル経由で行います。クオータに空きがない場合、採用自体が難しくなるため、求人側・求職側ともに事前確認が必要です。

EPとSパスの主な違い

項目EPSパス
対象専門職・管理職中程度のスキル職
月収要件(目安)5,000 SGD〜3,150 SGD〜
クオータ制限なしあり
家族ビザ(DP)取得可能月収条件次第

 

4. 就労ビザ取得・更新時の注意点

COMPASSスコアの重要性

2023年に導入されたCOMPASS制度では、EPの申請時に申請者と雇用主の双方に関するポイントが計算されます。例えば、外国人比率が高い企業や、特定の国籍に偏った採用をしている企業ほど、個々の申請者の承認が難しくなる仕組みです。事前にCOMPASSスコアのシミュレーションを行うことをおすすめします。

更新と有効期限

EPの有効期限は最初の申請で1〜2年、更新後は最大3年です。更新も雇用主が行いますが、月収・職歴・企業状況など再審査が行われます。転職の際は新しい雇用主がビザを再申請する必要があります。

家族ビザ(DP・LTVP)

EPを取得した場合、一定の条件を満たせば配偶者・子どもの「ディペンデントパス(DP)」または「ロングタームビジットパス(LTVP)」の申請が可能です。Sパスでも月収が十分であれば家族ビザの取得ができる場合があります。

医療保険の手配

就労ビザを持つ従業員に対して、雇用主はシンガポール政府が定める医療保険(入院費用カバー)の提供が義務付けられています。ただし、外来診療や歯科・眼科はカバーされないことが多いため、個人で補完的な保険に加入することをおすすめします。

まとめ

シンガポールの就労ビザ制度は、近年の審査強化により取得のハードルが上がっています。特にCOMPASS制度の導入以降は、スキル・月収・雇用主の状況が総合的に評価されるため、転職・就職活動の段階から要件を把握しておくことが重要です。就労ビザはすべて雇用主が申請主体となるため、採用企業との密な連携のもとで準備を進めてください。